紅に 深くにほへる 桜花 雨さへ降りて 色を染めけるー櫻坂46「五月雨よ」音源解禁 2022年2月23日付
紅色に照り映える桜の花に、
それだけでも美しいのに雨までも降って
一層濃く染めて色つやを増して美しくなった。
一条大納言歌合出詠。
4月6日発売なので、桜の季節に五月雨が降ることはないけれど、こちらは一年中咲き誇る「櫻」。
愛という雨をずっと浴びる櫻に、雨よ止むなと願わずにはいられない。
その雨が彼女たちをより美しく、より強くすると信じているので。
櫻坂46「五月雨よ」音源解禁。
イントロもなく、いきなり天ちゃんの「五月雨よ!」から始まる曲。
自分でも驚くくらいのスピードで零れ落ちる涙。
欅坂46と櫻坂46を等距離で見つめて、ずっと別物でないとダメだと妙な縛りを自分の中に課していた。
それも無意識に。
でもどこかで欅坂をずっと感じさせてほしいという想いもあって、それらが綯交ぜになりながら彼女たちを見つめてきた。欅の色を残してほしいなら、彼女たちに望むのはやはり強い曲。「流れ弾」はまさにそれだった。
その一方で、欅坂のような強い曲で楽曲を届けたい、という彼女たちの言葉はもちろん真意であるだろうけど、それ以外の曲を届けたい、パフォーマンスしたいという欲求だってあるのではないか、と。
特に一期生は、よく言われるように、乃木坂46に憧れてオーディションに応募してきたメンバーが多くいる。とすれば、乃木坂のような王道アイドルへの憧れだって当然あるはずだ。
私自身、欅坂の曲でどうしても一曲選べ、と言われたら、間違いなく「二人セゾン」を推す。総合芸術な上に色んなエピソードも加味されてのことだが、ベースは確実にメロディラインにある。
まさに王道ではあるのだが、そのうえに欅坂らしい重層的というか、幾重にも重なる音のラインをはじめとして、とにかく欅坂ならではの色が加わっていた。欅坂の歴史を辿っても、この曲は異色。メッセージ性ももちろんあるけれど、他の曲とは少し趣を異にする。ただ、この曲がメンバーにもファンにも人気が高いことは、欅坂46が残した側面の一つだと言える。
話を戻すが、私は確かに欅坂を彷彿とさせるような、強い曲を櫻坂46に求めていた。一方で、彼女たちにセゾンのような曲を表題であげてほしい、というのが、心の奥底で眠っていた真の願いだった。薄々勘づいてはいたが、「五月雨よ」が流れた瞬間、秒で流れた涙でそのことをはっきりと認識した。
良かったね、と。
さらにこの涙には、もう一つの意味がある。
朝からまた聴いてる…
— 🌸🎨🧢🏦 川 島 雅 隆 ◢͟│⁴⁶ 🌳🐴🗒☀️ (@hiroty0526) 2022年2月22日
そして聴けば聴くほど…全員で歌ってほしかったなと…なんでここにいないメンバーがいるんだろうなと…そういう意味の涙が出てしまう😢
Buddiesなりこの曲なり、選抜にして誰が得をするんだ
その人たちの得は、彼女たちの想いと引き換えにするくらい重いのか#櫻坂46 #五月雨よ https://t.co/sJQ1lrzlmA
その葵ちゃんがいない、というのもある意味衝撃的な選抜だけど、この曲を歌えないメンバーがいることがどうしても納得いかない。
悔しいんだよ。
4thが素晴らしい曲であればあるほど、なぜ全員で歌えないのか。
涙には悔しさのスパイスも入っていた。
セカアイじゃないけれど、涙に色があったら、いったいどんな色だっただろう。
セゾン系が来てくれたことへの、本当に自分が彼女たちに与えてあげてほしかったものが来たことへの、感謝の涙と
どうしてこんなに素晴らしい曲を歌えないメンバーが存在するのか、いったい彼女たちが何をしたというのか、何をしたことへの仕打ちなのか、という悔恨の涙
その二つの原色が混ざり合うと、結局グレーしか生まないかもしれないな…
解禁から、既に何度も何度も、何度も聴いた。
音源解禁からたった一日で、少し歌えるくらいまで聴いた。
感情が正から負へ、負から正へと揺さぶられ、揺さぶられ続けた結果、曲が心にストンと落ちていった。
落ちていったが最後、もはや消えることはない。
この曲が私の中から消えることは、ない。
そうだと確信を持って言えるほど…
欅坂46「二人セゾン」と並んで称されるほどの曲に、早くもなろうとしている。
神曲などと簡単に使われるけれど、本当の神曲はそんな安いものではない。
届けてくれる人の情念が乗り移り、自分の中で血肉となる
そうなれば自分から離れることは決してない
自分の運命と共に一生ついてまわる
必ずそばにいて、必ず感動を与えてくれる
それが、神曲
私はそう信じている。
さて、こうなると当然ながら、MV解禁が待ち遠しくなる。
欅坂時代から毎回同じことの繰り返しながら、ここまでの神曲のMVとなると、自分の中でも一風意味合いが変わってくる。
ちなみに。
「Nobody's fault」 音源解禁…2020.10.14. MV解禁…2020.11.11
「BAN」 音源解禁…2021.3.8 MV解禁…2021.3.17
「流れ弾」 音源解禁…2021.8.23 MV解禁…2021.9.12
1stと3rdは、ツアーが絡んでいたり、フェスでの解禁が予定されていたという話もあったりで、前例として出すべきか否かは意見の分かれるところであろうけど、できれば間延びせずにMV解禁となってほしいのがこちらの願いではある。
ただこれもアンビバレントな感情ではあるけれど、早く観たいと同時に、この神曲をさらに誰にも文句を言わせない映像美に仕立て上げてほしい、櫻坂46にしか出せない空気感と躍動感で仕上げたMVにするために、じっくり作ってほしいという気持ちも併せ持つ。
今こうしている瞬間にも、着々とMVが日の目を見るための胎動を感じている。
携わる人全ての想いを乗せて…
間もなく、少し季節外れの五月雨が降り注ぐ。