紅白歌合戦という舞台での楽曲披露の意味ー紅白2021、櫻坂46「流れ弾」日向坂46「君しか勝たん」披露 2022年1月2日付
紅白歌合戦が、数ある歌番組の中でその巨大な意味を持つことは、少なくとも私たち世代以降の方ならご存知のはずです。
そして、櫻坂46、その前身の欅坂46を推してきた人にとっての紅白は、さらにそこに違う意味を持たせてしまうことになります。
もうここでは何度も書いてきたので敢えて触れませんが、私たちにとっては欅坂46が全身全霊でこの番組に賭けていたことの表れとして、やはり紅白が近づいてくると「あの出来事」をどうしても意識せずにはいられません。
紅白、というよりも、NHKという放送局が坂道グループと親和性が高い。
大人の事情はもちろんあるにしてもそれはともかくとして、ただそれだけでここまで良くしてもらえるというのは本当にありがたい反面、特に欅坂櫻坂に関して言えば、NHKという局の性格からすれば実に不思議ではあります。
紅白歌合戦の披露曲がどうやって決まるか。
ソースがはっきりしない、ということを先に述べておきますが、NHK側からの希望があるという噂を耳にしたことがあります。
一般的には、アーティストの側から歌う曲を申し出るようなイメージはありますが、そうではないと。
もちろん単に聞いた話だけで真偽は明らかではありませんが、もしそれが真実だと仮定すると、公共放送だというNHKが不協和音や流れ弾を指定するというのは、相当攻めに入ったと思ったものです。
不協和音があのとき不測の事態を招き、その後2019年、今となっては欅坂として出場したのは最後でしたが、このときにもNHK側が不協和音を指定したことになります。
どういう意図だったのか。
いや、どういう意図だったにせよ、これは本当に感謝すべきことでした。
結果として、あのときのリベンジを果たすことができたと思っていますし、その舞台を整えてくれたのは他ならぬNHKだったということになります。
櫻坂46に改名し、1stシングルを発売した直後の昨年。発売からわずか22日での紅白出場となり、いろんな声がまた聞かれました。
そして今年。
自分自身がだんだん年齢が上がってきて、なんとなく守りに入っているなぁ…と感じることはあるんですが、2021紅白に櫻坂46が出場するとなったときに
「紅白で披露するなら、流れ弾ではなくBANだろうな」
と思ってしまった自分がいたのです。
これは猛省点です。
NHKが公共放送だから、「リンチパーティ」という単語が入っている歌詞を紅白で披露させてくれるはずがない、という妙な守りに入った考え方に基づく予想でした。
何が猛省点かというと。
守りに入る云々もそうですが、あの曲は断じて「リンチパーティしようぜ!」という曲ではなく、ネット上の悪意ある書き込みを、愛と信頼をもってなくしていこう!という曲なのです。
それを、単なる言葉狩りで叩こうとしている連中に忖度して披露しない、というのは守り以外の何物でもない以上に、彼女たちを含めた制作陣の皆様に対して非常に失礼な考え方だったのです。
そして、公共放送であるNHKだからこそ、このメッセージを広く伝えてもらわなくてはいけない。
だから、これでよかった。
このご時世、内に籠ることが多くなり、外部との接触というとネット上、というのが増えてくると、それに比例して活字の暴力が増える。
一般人のみならず、マスメディアですらそうです。
もはや叩くことが前提で、そこから物語を作ったとした思えない記事も一つや二つではない。
直接言われる言葉以上に、感情が感じられない活字の言葉。傷は当然深くなります。
言葉を放った方は忘れるけれど、受け取った方はずっと覚えている。
それを愛をもって変えたいという彼女たちの楽曲の大切さを、私なんかよりNHK、もっと言えば紅白制作に関わる皆様の方が見抜いていたということになります。
そして。
全員での披露。
彼女たちは持てる力を全て発揮してくれました。
曲の長さは確かに短かった。それは当然気になる点ではありました。
でもそのことを差し引いても、もっと言えばそれは彼女たちのせいでもなんでもないし、与えられた時間空間で最高のパフォーマンスだったと私は思っています。
東京国際フォーラムのガラス棟でのパフォーマンスとなった櫻坂46とは違い、メイン会場のホールAでのパフォーマンスとなったのが日向坂46。
今になって考えると、どちらかというとこちらの楽曲の選定は、別の意味で不思議ではあります。
もちろん「君しか勝たん」ではダメだという意味ではありません。同時に「ってか」でなければならない、という意味でもありません。
前述のとおり、NHKが指定してきたとしたら、その理由がなんなのかが見えない、という意味です。
もっと言えばそれこそ表題でなければならない理由もないんですが、やはり紅白披露後の影響力を考えると最新曲を歌って数字に繋げたい、という事務所やレコード会社の意向は当然あるはず、というのは素人考えでしょうか。
もしかしたらそこから間違っているのかもしれませんが…
ただある意味、今年の楽曲として、世間の日向坂のイメージとしては「ってか」よりも「君しか勝たん」だったのかもしれません。
日向坂のイメージをより強く浸透させるために紅白の舞台をチャンスと捉えるなら、それもわからなくはありません。
まぁここからは、個人の好みの問題も出てくるので言及は避けますが😁
紅白2021における日向坂の最大の見せ場は、あの「変身」でしたね。
少なくとも、視聴者の目を惹きつけることには間違いなく成功したと思っています。
物事というのは、どこにフォーカスを当てるかで自分の印象はもちろん、見方全てが変わってくると言われます。
坂道グループは乃木坂46が先鞭となり、櫻坂46が新しい層を切り拓き、日向坂46で裾野を広げた、と私は思っています。
口の悪い人には、いろんなことを言われることもあります。
ただ、SNSを広く見ていると、それこそアイドルグループには想像を絶する数があり、そこにこれまた想像を絶するくらいの数のメンバーが、今この瞬間も活動しています。
繰り返しになりますが、私はアイドルグループをずっと推してきた人間ではありません。
申し訳ないですが、櫻坂日向坂以外のグループやアイドルを見ても、心が反応しないのです。懸命に頑張っておられるのはもちろんわかりますし、決して否定しているわけでも貶しているわけでもありません。
ただ、琴線に触れるか否かという点ばかりはどうしようもない。
言えることは、これだけのアイドルがいらっしゃると、世間にその名前や活動を知ってもらえるのはごくごく僅かであり、例えば叩かれたり炎上したり、というのも話題になるから起きる出来事であって、懸命に頑張ってるのに話題にすらされずに終わっていく方々のほうが圧倒的に多い、ということです。それを思えば、坂道グループというのはなんと恵まれているのだろうと。
一時期のブレイク時を考えれば、一般的には下火になったように見えるかもしれません。でも私は、坂道グループは安定期に入ったと捉えています。でも、この安定期こそ実は最も「次」を考えなければならない時期でもある、ということは忘れてはいけません。
諸行無常。
盛者必衰。
安定に安住すれば、抜かれる身となる。
オワコンだとは全く思いませんが、業界のトップを常に走ろうと思えば、こなさないといけないことはそれこそ山のようにある。
紅白歌合戦出場。
もちろん当たり前でもないこの出来事に、そのことを改めて思わされるのが毎年の大晦日なのです。