櫻坂日向坂の上り方

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やはり世の動きと無関係ではいられない芸能活動ー櫻坂46「摩擦係数」MV解禁延期 2022年7月8日付

 

私は学習塾で文系の科目を担当しているが、中学生に「社会」という科目を教えるときは、他の科目にない特異性をよく感じることがある。

まして中学3年生に教える範囲は「公民」。扱うのは憲法・政治・経済・国際の4分野だ。

とすると、教科書やテキストに書いていることだけではなく、今の世の中で起きていることと無縁でいられるはずがない。英語や数学で時事問題を扱うことなど殆どないだろうが、社会はそういうわけにいかない。

そうすると、そこから一人一人の生き方、大人とは何ぞや、大人として生きるとは何ぞやという、おおよそ保護者から学習塾が求められていないような話にまで及ぶこともある。

 

 

 

ご存知の方も多いだろうが、2022年7月8日、本日近鉄大和西大寺駅ロータリーにて、参院選の選挙遊説中だった安倍晋三元首相が、二発の凶弾を受け、懸命の救護活動も実らず、その後亡くなった。

 

 

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このブログは、櫻坂46日向坂46を心から応援しようという趣旨のブログなので、世の政治的社会的なことを取り上げるのは趣旨に反する。いい悪いでも、正しい間違ってるでもなく、ただ一点「趣旨と違う」ということである。

それに、政治信条の話や社会的動揺の話をすると、その主義主張と違う人たちからのツッコミを呼びそうで、それこそ全く趣旨と違ってくる。だから敢えて一切そこに触れてこなかったのである。

 

ただ今回はそういうわけにもいかなくて。

 

それは、櫻坂46が1stアルバム「As you know?」収録曲「摩擦係数」のMVを解禁する予定の日だった、という関係性があるからだ。

 

こんなときにアイドルグループのMVがどうのとか言ってる場合か、というお叱りももう十分承知してこれを書いている。

 

 

 

 

安倍元総理の訃報を受けて、世の中はやはり動揺が続いている。

その亡くなり方があまりにも衝撃的だったから、なおさらだ。

当然世の中がエンタメに向ける視線は厳しくなる。

軒並みエンタメ関係は休止延期の措置をとった。

 

偶然、本当に偶然にこの日にMV解禁を予定していた櫻坂46運営がどういう判断をするか、少なくとも我々は注目した。そして、冒頭のお知らせになる。

 

 

このときのTLも見させてもらっていた。

日本の要人が襲撃される、民主主義の根幹が揺らぐそんな日に、ミュージックビデオを公開したところでファンは楽しめない。仮にそれがトレンド入りでもしようものなら、グループが叩かれる。或いはメンバーが叩かれる。そんな姿は見たくないので延期が相当。

という意見。そして

こういうときだからこそ、エンタメが人々の心を潤せる。全員で気が滅入ってしまう必要はない。そもそも、要人が襲撃されたから自粛するなど、人間の命に優劣をつけているようで不快だ。予定どおり解禁すべき。

櫻坂を推す人たちでも、意見が分かれた。

 

どちらの意見も一理ある。

ファンとしてMVが観たい気持ちは、ファンならば誰でも同じだ。ただ個人的に、正直な話を言えば、今日公開されていたとして楽しめたかと言われれば、疑問符は確かにつく。

YouTubeのコメント欄、おそらく、いや間違いなくこの日に公開したことを批判するコメントは来るだろう。そんなコメント欄は、メンバーも見ていることを以前から公言している。当然全力を尽くした楽曲制作において、ある意味彼女たちの責任ではないところで批判されてしまうのは、私たちとしても避けてほしいと願うところ。

 

だからこればかりは、私たちが公開賛成反対とそれを声高に叫んだところで、その後に起きる事態に対して責任が取れるかどうかをリアルに考えられるのは運営だけなのだ。だから、少なくとも私は運営の判断を尊重したい。

 

英断だ、とか、賢明な判断(Twitterで「“懸命な”判断」と誤字になっているツイートが多くて驚いたが)だ、とか、そんな上から目線なことは私には言えない。ただ、下す決定を尊重する、ということであって、それ以上でもそれ以下でもない。

 

 

 

つまり、アイドル活動といえど、世の中の動きと全く切り離されたところで行われているわけではない、ということである。至極当然の話ではあるけれど、意外と推し活をしているとそのことを忘れることがある。リアル生活と切り離したいという願望があるのかもしれない。それでも、やはり繋がっているということをまざまざと思い出させてくれる。

 

欅坂から櫻坂を推している人たちにとっては、何度かそういう場面に出くわす。

AKB48を推している人たちもそうだろうが、あの忌まわしき握手会での出来事もその一つだ。

世の中の動きと、全く切り離されているわけではない。ファンタジーではない。メンバーも私たちと同じ人間で、同じ血が通い、同じ時を生きている。

 

だから、こういうことが起きたときは私たちにできることは何もないと思っている。運営に任せるより他はないのだ。その運営が延期する、と言ったらそれしかない。

 

いい悪いは別にして、そのリプ欄にはこんなツイートもある。敢えて貼り付ける。

 

 

私はこれらのリプを、批判したいわけではない。こういう声があることを知るのも大切なことだと思うのだ。

特に下の方は、疑問調で書かれているが、本当にご存知ないわけではなく、理由がそれだろうとご存知の上で書かれている。命の優劣をつけているように見えてしまう、言われてみればそう見えても仕方ないかもしれない。

 

その是非は私には判断しかねる。ただ、延期の最も合理的な理由としては、やはり単純にこの状況でMVが出ても楽しめない、そして何よりグループやメンバーへの批判を避けたい、という思いが上位に来るのだろう。「なぜMVの公開を延期するんですか?」私なりに考えたとき、その答えはそこしかないような気がする。

こちらがいかに関係ない、と思ったとしても、そういうツッコミを入れる人はいる。おそらく、必ずいるだろうと私は思っている。

情緒面での問題。

受けなくてもいい批判は、予期して避けることができる。

 

 

 

 

 

人の命は、とか、人生とは、などと言い出すと、また全然趣旨が違ってくるとは思う。

安倍さんのことをここで語るのも、また何か違うだろうとは思う。

それでも一つだけ言えること。

それはやはり、握手会の場所でメンバーが襲撃されかかったグループの、ファンだから言えることでもある。

 

 

たとえどんな理由があろうと、人を殺めて事を解決しよう、もっと言えば、自分の念を貫こうとするのは、断固として間違いであると。

 

そうでなければ、自分の思いに反する人たちはそうやってしまえばいいという、それこそ恐怖の世の中が誕生してしまうのだ。

 

 

 

 

私は、絶対に今日という日を忘れない。

テロ行為と、そのために一人の人間の命が奪われたことと、その余波を受けた人たちがいたこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安倍晋三元首相のご冥福を心よりお祈り致します。