記憶の底で、心にずっと寄り添う楽曲であれー櫻坂46「五月雨よ」MV解禁 2022年3月11日付
つくづく、感情を理論で説明することが、いかに愚かなことかと感じさせられる。
もちろんその感情にも本当は原因があって、それが自分で気づいていないか、或いはいろんなものが混ざり合ってわからなくなっているだけか、そういう事情もあるだろうけど。
でもそれを探るということは、極めて無粋だし、そもそも意味を感じない。
涙が流れる。
その自分を享受し、その状態に身を任せる。それでいいのだけれど。
敢えてその、愚鈍で無粋で無意味なことをやってみようと思う。
櫻坂46、4thシングル表題曲「五月雨よ」MV解禁。
櫻坂46 OFFICIAL YouTube CHANNELにて4月6日(水)発売の4thシングル「五月雨よ」のMusic Videoを公開いたしました🎬
— 櫻坂46 (@sakurazaka46) 2022年3月10日
ぜひご覧ください🌂#櫻坂46#五月雨よhttps://t.co/zAMRB45ooI
櫻坂46を、欅坂46からずっと見てくると、勝手に歴史の証人の立場に自分を立たせることになる。
もちろん、本当の歴史の証人は当のメンバーたちであり、彼女たちを支えるスタッフの皆様であるのは間違いないのだが、表だけしか見ていないとはいえ、そして真実の全てではないとはいえ、一部の「真実」をずっと見てきた自負がある。
様々な事象があり。時にはその節々での彼女たちの心情にも触れ、それによってこちらの感情が爆発したり、しそうになったこともあった。
ずっとその流れを見てくると、今ここまで来て、この曲を情感たっぷりに歌えるグループに昇華したことが、こんなに尊さの塊になるのかと。
切り取られた瞬間瞬間に、尊さの光が放たれる。
今回のMVは16mmフィルムで撮影されたという。
その違いは、最初に見た瞬間にわかった。
何が違うのか、細かいことはわからないものの、一瞬でその違和感にだけは気がつく。
でも結果的に、これが倍の涙を誘う。
櫻になって優しくなった、明るくなった、と言われるけど私はちょっと違ってて
— 🌸🎨🧢🏦 川 島 雅 隆 ◢͟│⁴⁶ 🌳🐴🗒☀️ (@hiroty0526) 2022年3月10日
元々とてつもなく優しい人の集まりで、同時に人見知りで緊張しいで…
悲しいこともあった
逆風もあった
でもそれを乗り越えたからこそ滲み出るものなんだよと
だから柔らかく、優しく、強いんだ#櫻坂46 #五月雨よ pic.twitter.com/8LzgfwTtsI
当然の話だが、彼女たちの全てを知っているわけではない。私たちに見せない、見せられない部分はあるだろうし、それは何も彼女たちに限った話ではない。もっといえば、私たちの方だって彼女たちに見せたくない面はあるだろう。それはお互い様、というものだ。
それを前提として、敢えて言う。
櫻坂46には、全てにおいて器用なメンバーがなかなか存在しない。
でも、何でもソツなくこなすということが、それほどいいとも私は思っていない。
不器用だからこそ、人間味があって。
不器用だからこそ、それを克服しようとしている姿が愛せる。
一人の人間として、何かに悩み、嬉しいことも悲しいことも、私たちと同じように経験しながらそれでも日々を生きていく。
アイドルは偶像だ。そうかもしれない。
でも、間違いなく言えることは、その場所に確かに存在している。生きている、ということ。
私たちと同じ人間であるということ。
であるならば、私たちと同じ感情を有し、いろんな想いを経験しながら生きているのだって同じはずだ。
その一端でも目にしてきた私たちが、彼女たちに感情移入して、その姿に涙を流すのは、極めて自然なことである。
欅坂46は、ムーヴメントにまでなった。
名前が売れる、ということは、虚実入り乱れたいろんな話を駆け巡らせる。
アイドルグループとしては大きくなった彼女たちであったとしても、それをうまく泳ぎ切れるほど個人個人が成長していたかというと、とてもそうとは言い切れない。
だから傷つく。
傷ついて、傷ついて、涙に明け暮れて。
最後は、自分たちの存在の基盤であるグループまで、改名という形での変化を余儀なくされた。
そんな彼女たちが、あんな柔らかい表情で、人を想う気持ちを歌う。
その一連の過程を知りながらそんな表情を見て、涙しないという意味がわからない。
例えば、櫻坂を代表する曲になるだろうとか、売上がどうなるこうなるとか、MVの再生回数がどうとか、他のグループと比べて云々とか、確かにそれらもビジネスとしては大切かもしれない。
大切かもしれないけど、下世話だ。
心に響くものというのは、時としてビジネスと相容れないことだってある。
本当に心に響くものであれば、時が経ってもずっとずっと残る。
残りさえすれば、そこから少しずつでも伝播していく。
楽曲そのものが、歴史の証人になるのだ。
短い期間で売れて、そのまま消えていく。記憶にも残らない。そんな消耗品のような曲なんて、櫻坂46には似合わない。
心に残り、そしてずっと寄り添う。
そんな楽曲こそが彼女たちにふさわしい。
「五月雨よ」
この曲はそんな曲になってほしいし、なってくれると信じている。